しかばね先生の日常ブログ

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漫画編集者は悪か否か、という裏話

今日はちょっとした裏話をします。

(長いので時間がない方はすっ飛ばしてください。)

 

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という話です。

 

私は今年、漫画家としてデビューした新人漫画家です。

 

 

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新人賞への応募や出版社への持ち込みが一般的な漫画家のなりでしたが、今ではネットで漫画を発表していたら出版社の方から声を掛けられるという漫画家デビューの仕方の方が多いのかもしれません。

 

私も漫画をネットで好き勝手に描いていたら、出版社の方からコミックスを出しませんか?と声を掛けて頂いたという、ネット発の漫画家です。

あー、すみません、なんだか良い子ぶってる文章になってしまって窮屈なので、ですます調、ここでやめます。

 

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編集者から声を掛けて頂いた時期は去年(2017年)の夏の終わり頃だったと記憶している。

 

その声をかけて頂いた日、友達と飲みに行く約束をしていたので夕方から飲み屋街へ足を運んだ。

 

目的地へ行く途中、空を見上げると雲の流れと色味が美しかったので、なんかいいなと思い

少し物悲しげな夏の終わりの夕暮れの写真を撮った。

 

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そして足元に目をやると

 


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大根が落ちていた。

 

 

飲み屋街に落ちている大根…。

 

きっと料理人が落としたに違いない…。

 

この飲み屋街のどこかで「買ったはずの大根がない!」と嘆いている居酒屋があるに違いない…。

 

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そんな事を考えながら目的地の居酒屋で友人と合流し、飲みの席で「ここに来る途中に道端に大根が落ちててさ〜」と、この写真を見せながら、どうでもいい話をダラダラとしていた。

 

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大根の写真を友人に見せている最中に、ピコンと1通のメールが届いた。

 

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差出人はKADOKAWAの編集を名乗る人物で、コミックスを出しませんか?という内容だった。

 

飲みの席でこのメールを開いてしまったので、周りにいる友人に「だは〜!これはきっと何かの冗談だろう」とメールを見せてしまった。

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友人は「いや、これは本物だ、すぐに返信をしろ」と促されたが

 

 

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実は内心複雑な気持ちだった。

 

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えっ…KADOKAWAって…

 

そこに引っかかってしまったのである。

 

正直言ってしまうと2017年6月に発売されたと同時に瞬く間にネットで話題になった漫画

 

 

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(電子書籍で購入しているのでスクリーンショットで申し訳ない)

 

「とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話」

 

この漫画の内容が脳裏によぎった。

 

話題になったので内容をご存知の方が多いと思うが、手短に説明すると、KADOKAWA 少年エースの編集者に漫画のセリフを作者の許可なく改ざん、無償でカラー色紙1600枚描かせる、嘘をつかれる、等の仕打ちを受けたという暴露エッセイ漫画なのである。

 

これを読んでしまっていた私は、漫画業界は超絶ブラック、特にKADOKAWAにはヤベー編集がいる…という刷り込みと

 

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丁度この頃、アニメ監督のたつきさんがKADOKAWA方面のお達しで、けものフレンズの監督を外されるという内容のツイートを投下しKADOKAWAが大炎上するというタイミングも重なり

 

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「K」しか合ってない、「K」しか合ってないけど、私の中でKADOKAWAはマッドマックスの世界だ。

 

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…なんかヤバいイメージを抱いている、だからこの誘いは乗り気ではない。

 

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という心情を友人に打ち明けた。

 

すると友人は「あんた、今まで身の回りの事を漫画にしてきたんだから、もしヤバいことが起こったらそれも漫画にすりゃええよ」

 

 

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その一言で「それはそれで面白そうだ」という好奇心に駆られ、次の日に「よろしくお願い致します」というメールを返信した。

 

 

そして私はKADOKAWA編集者がマッドマックスの世界なら、こっちもマッドマックスの住人になるしかねえ…!

 

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そんな考えに至った。

 

今考えると大変失礼な奴だったと思う。

 

私は地方に住んでいるので、打ち合わせはなるべくメールで済まし、電話内容は録音しておき、後で何か問題が起きたら すぐに対応できる様に必ず証拠が残るようにしていた。

 

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編集者の方が「一度ご挨拶に伺います」と言ってくれていたにもかかわらず

 

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凄い勢いで拒否していた。

 

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(すみません、盛りました、実際はこんな感じです。)

 

マッドマックスの世界の編集者がこのド田舎に来る…。

 

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絶対とんでもねえ乗り物に乗って来る。

 

マジで怖い。

 

今通話している携帯電話もきっと

 

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そんなケースを付けているに違いない。

 

 

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なんかもう全力で拒否をした。

(全部妄想なのに)

 

 

 

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実際、会って打ち合わせをしなくても仕事に差し支えはなく、Webメディアで漫画の仕事をしていた頃からクライアントからはメールのやり取りのみで一度も会ったことがなかった。

 

そんなこんなでKADOKAWAとの仕事が進み、無事コミックスが発売された。

 

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「あれ…?多少の問題はあったが大丈夫だぞ…?」

 

特に大きな問題はなく、めちゃくちゃスムーズに進んだのだ。

 

大きな問題が起こらなかったのは

 

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この「とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話」のおかげなのではないか?と、少し思っている。

 

この漫画はタイトルの通り、新人漫画家の話だ。

 

新人漫画家だから最初は「これはちょっと…」と思っていても言えずに溜め込んでしまい、最終的に爆発してしまう経緯が描かれている。

 

分かる、その気持ち、めちゃくちゃ分かる。

 

私も「これはちょっと…」と思っていても言えずに我慢した結果、最終的に爆発してしまい、残念ながら関わりを絶ってしまったWebサイトがある。

 

そんな自身の経験や、「とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話」を読んで、絶対に溜め込まずに小さな事でもすぐに編集者に言う事を心がけた。

 

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これは自分でもどうなんだ?とは思うが、漫画のセリフの写植(文字の書体)にまで口を出すほど、とにかく少しでも「ん?」と思った事は言いまくった。

 

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私が些細な事を言う度に、編集者の方はすぐに対応してくれた。

 

 

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もしかして…?

 

 

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斧なんか刺さってないかも知れない。

 

 

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矢かも知れない。

 

そんな風に斧から傷口が小さな矢へとイメージが変わりつつあった時、事件は起こった。

 

単行本最後の大仕事、表紙と裏表紙のカラー原稿を書き上げ、すぐ編集に送り、OKが出た。

 

終わった…全部の仕事が終わった…。

 

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全ての作業が終わり感極まって泣いた。

 

そして後日、編集者からニコニコ静画にもヤングエースUPで連載している漫画を載せてもいいかという連絡が来た。

 

いいですよと答え、後日、ニコニコ静画にUPされた漫画のページを開くと

 

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表紙として描いた絵がニコニコ静画の扉絵としてUPされていたのである。

 

は?何が問題なの?と思われるかも知れないので説明させてほしい。

 

表紙、裏表紙のカラー絵は原稿料が出ない。

 

無償なのである。

 

そして書影が出るまで、単行本がどんな表紙なのか読者さんには明かされない。

 

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この表紙の絵は、過去に安心介護というサイトで描いた漫画の扉絵のリメイクで

 

 

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ネットで絵が下手だ下手だと言われていたが、昔から応援していただいている読者さんに、少しだけど絵が上達したところを見て欲しくて

あえて同じ構図にした。

 

「書影が出て 昔から応援してくれてる方が表紙の絵を見てくれたら、お!あの時と同じ絵だ!上達したな!なんて驚いてくれるかな」そんな思いがあった。

 

 

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私はてっきり、このヤングエースUPのカラー扉絵がニコニコ静画の扉絵で使用されるとばかり思っていたので(この扉絵は原稿料がきちんと出てます)

 

単行本の表紙として無償で描いた絵が、ニコニコ静画のトップとして使われているなんて思いもしなかった。

 

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ネタバレされた気持ちと、単行本用に描いたのに素材として使われた事に苛立ち、すぐに編集者へ連絡した。

 

「あの絵は単行本の表紙用に無償で描いた絵です。

フリー素材ではありません。

このままニコニコ静画で使用するのなら原稿料を払って頂きます。」

 

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この時も即対応して頂いて、ヤングエースUPの扉絵と同じものに差し替えられた。

 

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しかし、これには編集者の言い分がある。

 

「読者の方が単行本を探しやすいように表紙の絵を使用しました」

 

 

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だけど最初にニコニコ静画に「単行本の表紙の絵を使用してもいいか?」という確認が欲しかったと伝えた。

 

この事件以降、編集者はちょっとした事でも確認の連絡を必ずしてくれた。

 

 

 

で、結論。

 

漫画編集者は悪か否か?

 

 

 

 

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私は編集者は悪ではないと感じてる。

こちらの言った事に誠実に対応して頂いた。

売れる為に試行錯誤して頂いた。

感謝しかない。

私の力不足で単行本が売れなかった事が本当に申し訳ない。

 

 

「とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話」では担当編集者をまぎれもない「悪」に描いている。

 

SNSでも編集者を悪く書かいた文章を時折見かける。

 

悪い話は印象に残りやすく、拡散されやすい。

 

中には本当に「悪」の編集者もいるだろう。

 

だけど絶対に「新人だから編集者にこんなことを言ったら連載が無くなってしまうかも…」「次の漫画の仕事が来なくなるかも…」そう思って萎縮するべきではない。

 

漫画家の作品を守れるのは作者自身であり、萎縮せずに「何か違う」と感じたらすぐに編集者へ言ってみてほしい。

 

そこで誠実な対応がされなかった場合、SNSなどで こんな事をされましたとバンバン発言して良いと思っている。

この場合は一方通行では無く、何をされたか必ず物的証拠も抑えておいてほしい。

 

「とある新人漫画家に本当に起こったコワイ話」は作者の一方的な発言だと感じる場面もあったが、ちゃんとその場で言えなかったり断れなかったり、挙句流されて さぞかし辛い思いをしたと思う。

 

この漫画を読んでいなければ、もしかしたら私も言いたい事も言えずに我慢していたかも知れない…この漫画は強烈な反面教師として読んで良かった漫画だ。

 

そう思っている。

 

(売れてないのに偉そうにすみませんでした。)

 

 

 

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続き、描かせて下さい、お願いします…。

 

売れないと評価されない、続きが描かせてもらえない…商業で描くからには数字が全てなのは当たり前だとわかっているけど、はぁ…世知辛いっスね〜…。

 

次のブログは、何故漫画が売れなかったのか?という自分の漫画を徹底解明する内容にしようかな?誰もやってないし…なんて卑屈な考え方になっとりやす。

 

おわり